- 空も飛べるはず
- チェリー
- ロビンソン
スピッツの代表曲から爽やか、癒し系というイメージを持っている人が多いです。
しかしスピッツの曲には死を連想させるもの、表現が怖い曲もたくさんあります。
決して爽やかなバンドではないんです。
今回は草野マサムネさんの作詞方法からスピッツの歌詞の怖さを分析していきます。
記事の後半で歌詞が怖い曲を5つまとめているので、スピッツの新たな一面を知ってください。
スピッツの歌詞は怖い?草野マサムネの3つの作詞法とは
草野マサムネさんは以下3つの方法で作詞をしています。
- 妄想を歌詞にしていく
- 世間的にタブーとされている言葉を使う
- 死の恐怖を和らげるため、ダークな部分を歌詞にする
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
1.妄想を歌詞にしていく

草野「子どもの頃から妄想癖がすごい。
例えば、小6で恋した女の子が色黒だったから、アマゾンの奥地に住んでいることにして、自分は飛行機事故でそこへ落ちていくみたいな妄想をしていた。
こういうのを、想像の中で歌に仕上げていく。」
スピッツの曲はよく聴くと「男の身も蓋もない妄想」を歌詞にしているものが多いです。
そういった作詞は小学生のころからの妄想癖で培われているんですね。
「自分の中にパラレルワールドが現在進行形でいくつも存在している」といった発言もしているので、今もマサムネさんの妄想はすごいです。
自身で発言したものは以下のようなものがあります。
- 中世の王家に産まれたが、国の制度に疑問を感じて革命を起こそうとしている
- 芸能人の〇〇が総理になっている
- 人類滅亡後、残った種族は「文明」を悪とみなすが、地中に埋まった飛行機を見つけ、それを飛ばそうと試行錯誤する
- 自分は小5で野球が下手だが、名コーチに出会い素質を見出されてチームを優勝に導いていく
- 海水浴で波にのまれて記憶喪失になり、流れ着いた土佐でカツオ漁師になる
なんなんだ、この面白い妄想は!
特に5つ目なんて、マサムネさんはカツオ漁師に憧れでもあるんでしょうか?笑
でも妄想が歌詞につながっているんだからこういうのも何かしら曲になっているのかもしれません。
「この曲はどんな妄想をしたんだろう?」という観点からスピッツの曲を聴いてみるのも面白いですよ!
2.世間的にタブーとされている言葉を使う

記者「歌詞によく不気味な言葉が出てきますが、これも未知のものを暴きたいから?」
草野「世間的にタブーとされているものを引っ張り出すことに、快感を覚える。
意外かもしれませんがスピッツは爽やかに聴こえる反面、歌詞には結構毒のあるタブーな言葉を使っています。
たとえば「空も飛べるはず」には『隠したナイフが』という歌詞もありますよね。
でもさじ加減が絶妙だから言葉がきつく聴こえないし、言われてみないと分からないものも。
マサムネさんがよく使っている快感を覚える言葉は以下のようなものです。
- 魔法
- 魔女
- 死神
- ガイコツ
- 月
最近はあんまりなくなりましたが、初期のスピッツではかなり使われていた言葉です。
それにしても「魔法」もマサムネさん的に快感を覚える言葉なのだったら、「魔法のコトバ」って曲も違った捉え方をしてしまいます。
片思いの曲と思われてますが、もしかしたらそんな爽やかなもんじゃなく怖い曲なのかも?
3.死の恐怖を和らげるため、ダークな部分を歌詞にする

これも意外だと思いますが、スピッツの曲作りのテーマは「セッ◯スと死」です。
作詞をしているマサムネさん自身がそう話していたので間違いありません。
また、死についてはこのようにも話しています。
根本的には「恐怖」を感じる。小学校の頃、立て続けに亡くなった2人の祖父がマネキンみたいに見えて恐怖を感じた。
こうしたダークな部分を歌詞にすることで、恐怖を和らげようとしているのかも。
死ぬことは誰だって怖いものですよね。そして好きな人とセッ◯スをしたいという感情は誰しも抱きますし、性欲は人間の欲の中でも特に強い感情のひとつです。
だから言い方を変えれば「生きることと死ぬこと」という正反対のものをテーマに曲を作っているということ。
誰でも怖いと感じる「死」が歌詞に入り込んでいるのだから、自ずとスピッツの歌詞は怖いものになります。
それにしても妄想癖といい死への恐怖といい、マサムネさんの基礎は小学生時代に培われているんですね 笑
スピッツの歌詞が怖い曲5選

それではここまでの内容を踏まえた上でスピッツの怖い曲の一例を見てみましょう。
ぼくなりの解釈も載せてみたので、それぞれ想像を膨らませてみてください!
1.ビー玉
タマシイころがせ
チィパ チィパ チィパチィパ
タマシイころがせ 虹がかかるころに
この歌詞からも想像できるようにビー玉を魂にたとえた曲です。
ビー玉=魂で遊んでいるなんてずいぶん命を軽く見ているんだなと思いますが、実際ぼくたちは自分がいつか死ぬってことを忘れて生きているので命を軽く考えて生きています。
このようにビー玉っていうタイトルからは想像できませんが、人の死について歌っています。
どうせパチンとひび割れて
みんな夢のように消え去って
ずっと深い闇がひろがっていくんだよ
人が死ぬとはこういうことですし、命は地球より重いといわれても、死ぬときはあっけないもの。
ビー玉が割れるみたいにもろくなくなり、夢だったかのように終わってしまうんです。
歌詞と間逆のユルい曲調が恐ろしく聴こえますね。。。
2.死神の岬へ
ひやかすつもりはないけど にやけた顔で蹴散らした
死神が遊ぶ岬で やせこけた鳥たちに会おうか
死神とはもちろん死の象徴。
「やせこけた鳥」っていうのがなんだか不気味ですが、やせこけているってことはもう死の間際です。
今にも死にそうなものが集まっていることから、死神の岬は自殺スポットであり、この曲の2人は自殺しようとしていることが想像できます。
そこで二人は見た
歳老いたノラ犬を見た
ガードレールのキズを見た
消えていく街灯を見た
いくつもの抜け道を見た
走馬灯のようにも思えますが、最後に「いくつもの抜け道を見た」と歌っています。
この2人は自殺しようと死神の岬に向かいましたが、その先でこれからの人生の希望となる人生の抜け道を見つけて自殺を思いとどまったのだと思います。
人生は一本道ではなく、いくつも道がありますからね。よかったよかった 笑
3.五千光年の夢
五千光年の夢が見たいな 淡い緑のシャツ着て
頭ガイコツの裂け目から飛び出してみよう
ゆがんだ天国の外にいて
ずるい気持ちが残ってるから
ちょっと照れくさくて ちょっと照れくさくて
五千光年とは永遠にも感じられる果てしない時間。
「頭ガイコツの裂け目から飛び出す」という歌詞から、魂が体から抜けていくことが連想できます。
この曲の主人公は死んだらどうなるか、死後の世界はどうなっているのかということを考えていてその答えを知りたいと思っているのでしょう。
実際曲を作っているマサムネさんは小学生のころ父方と母方のおじいさんを2年続けてなくして死体を間近で見て死の恐怖を感じたことがあるようなので、死んだらどうなるかを考えていてもおかしくありません。
でも死後の世界なんて・・・知らないほうがいいような気もします←
4.スパイダー
ライブで定番の曲のひとつであるこの曲。実は誘拐の歌なんじゃないかと言われています。
可愛い君が好きなもの ちょっと老いぼれてるピアノ
さびしい僕は地下室のすみっこでうずくまるスパイダー
洗いたてのブラウスが今筋書き通りに汚されていく
スパイダー=蜘蛛は糸を出して小型動物を捕食する生き物。どこかで待ち伏せしてつかまえようとしている様子が浮かびます。
筋書き通りに汚されるブラウス・・・野蛮な行為のにおいがしますね
5.水色の町
川を渡る 君が住む街へ
会いたくて 今すぐ 飛びはねる心で
水色のあの街へ
頸(くび)のにおい 明るい瞳
会いたくて 今すぐ 泥まみれの靴で
水色のあの街へ
冒頭の歌詞の「川を渡る」という歌詞が三途の川のことなんじゃないかと考えられています。歌の主人公が自殺してあの世の彼女に会いに行こうとしているということです。
個人的にはこういう解釈はあんまり好きじゃないんですが、こう考えると納得のいくところも多いんですよね。
普通川を渡るなら橋を使うか船を使うので、靴が泥まみれになることなんてありません。
もし汚れるとしたら川辺の泥まみれの地面を歩いたということなので、本当に歩いて自力で川を渡ろうとしていると思われます。
でも自力で川を渡ろうとしたら死んでしまいます。このことから入水自殺をしようとしている様子が想像できます。
他にも「会いたくて今すぐ 間違えたステップで」という歌詞もあって、人生を踏み外そうとしている=自殺、とも考えられます。
単純に好きな彼女に会いた気持ちでいっぱいでいてもたってもいられない様子で会いに行こうとしているとも考えられますが、それにしては曲調が暗いんですよね。
やっぱり自殺なんでしょうか。。。