書評

【良作5】2022年1月に読んだ小説6作まとめ

去年の12月から小説を中心とした読書習慣を強化。その結果、1月は全部で6冊の小説を読めました。

今までだと小説は1ヵ月に1冊読めるかどうか位だったので、これはかなりの増加です。

また、1月からは、2022年の本屋大賞ノミネート全作読破を始めています。現時点で3冊読んだので、大賞発表までの全10作読破は余裕そう 笑

ちなみに今年の本屋大賞は、話題作揃いのお祭り状態なので、残りの7作を読むのも楽しみです。

では、今月読んだ6作をひとつずつ紹介します。

2022年1月の面白かった本5作

1. みかづき(森 絵都)


ぼくにとって初めてとなる森絵都作品。中でも特に評判のいい『みかづき』を今年最初の作品に。

そしたらもう、大当たり。600ページ以上あるけど、夢中になって読んだからあっという間でした。

物語は全三部構成。最初の二部までは不器用な夫婦が衝突を繰り返しながら塾の運営に悪戦苦闘していきます。

今でこそ当たり前の塾ですが、作品の舞台となった時代では、世間的によく思わない人も多かったみたいです。

正直二部まででも小説として十分面白かったけれど、三部構成になっていることの意味は、最後まで読むとよく理解できます。

ちなみに三部では、ぼくと同じ苗字の主人公が、ぼくが昔住んでいた地域で「塾に通えない子どもたちに勉強を教える活動」を始めるかどうかと苦悩しています。

ぼくもちょうどキャリアスクールの仕事に関わっていいのか迷うところがあり、同じ苗字の主人公には親近感を抱きましたね 笑

そしてぼく自身も、主人公と同じように不安を抱きつつも、今月からキャリアスクールの仕事に関わることに決めました。応援してくれよな!←

2. 夜空に泳ぐチョコレートグラミー(町田そのこ)

今年の本屋大賞ノミネート作が発表されるまでのつなぎとして、サッと読めそうな短編を読むことに。

そうして選んだのが、2021年に本屋大賞を受賞した町田そのこさんのデビュー作である連作短編集です。

町田そのこさんの作品はまったく読んだことがなかったので「本屋大賞受賞作家のお手並み拝見」みたいな気持ちで買いました。

そうしたら、これが桁違いに面白い。
誇張抜きで、今まで読んだ短編集の中で、1番面白いかもしれません。

この作品のすごいところは、

  • 5作とも書き出しがめちゃくちゃうまい
  • 1ページ目から物語が動いている
  • 短編だけど、どれも長編くらいの充実感がある
  • 5作が絶妙な形でリンクしている
  • 5作が全てつながり、壮大な海にたどり着いたかのようなラスト

といったもの。

特に町田そのこさんの書き出しのうまさは異常です。

「夏休みに入る少し前、近松晴子が孵化した」

↑これとかうますぎませんか??新人作家がやる技術じゃない。

短編でこのレベルなら、長編はとんでもないことになる。本屋大賞取るのはむしろ当然くらいに思える。

ちなみに町田そのこさんの新作長編は、今年の本屋大賞にノミネートされています。

さすがに2年連続大賞はないと思いますが、これも読むのが楽しみです。

3. 素敵な日本人(東野圭吾)

日本小説界の巨匠、東野圭吾。彼の手によって生み出されたベストセラーは数知れません。

東野圭吾には長編作品のイメージが強いですが、短編もちゃんと面白いのです。

個人的には「レンタルベビー」という短編で使われたトリックがたまらない。これは絶対に小説でしかできないトリックです。

最近の東野圭吾の作品は、良くも悪くも売れ線になっていると感じます。

昔に比べるとどうも小さくまとまっているというか、自分の作品の映像化への需要も意識しているんですかね。

短編は映像化や売れ線に偏る必要がないので、最近の東野圭吾の長編作品よりも実力が発揮されている印象。

どの短編も30ページくらいと短いので、あまり本を読まない人にもおすすめです。

4. 赤と青とエスキース(青山美智子)

2022年本屋大賞ノミネート作が発表され、いよいよぼくの全作読破チャレンジが始まりました。

とりあえず50音順に読んでいこうかなと思い、最初に選んだのがこの作品です。

青山美智子さんの小説は、デビュー作である『木曜日にはココアを』だけ既読です。

この作品はそんなに評価していなかったので「デビュー作からどれくらい進化したかな…?」という、上から目線で失礼な気持ちで読み始めました 笑

結論としては、本当にお見事でした。上から目線で読み始めたことを深く謝罪します←

青山美智子さんは間違いなく、今日本で1番読者に幸せを与えられる作家さんだなと思います。

本屋大賞を取れるかはわかりませんが、この作品で逃したとしてもいずれ受賞するでしょう。それくらい実力のある作家さんです。

個人的には初めての長編作品で本屋大賞という「町田そのこパターン」も期待してしまいます(なぜ長編を書かないのか??)

ちなみにこの本に関するぼくの感想ツイートは、書店に置かれるPOP及び読売新聞・朝日新聞の広告に掲載されることが決まりました。

「倉嘉リュウ | 偏愛ライター」と名前付きで載るので、よければ見てみてください。

5. 6人の嘘つきな大学生

正直なところ、この作品は本屋大賞ノミネートじゃなければ読まなかったと思います。それくらい期待値の低かった作品でした。

しかし、いざ読み始めたら大ビンタを喰らいました。べらぼうに面白いじゃねえか…!

とにかくあらゆる方法で、読者を印象操作して騙してくる。ものすごい構成力で、小説としてめちゃくちゃうまい。

読了後に読み返してみると、気づくか気づかないかくらいの細かい印象操作がいくつもあったことに気付かされました。
どんだけトラップ仕掛けてるんだよ…

強いていうなら、ラストが無難だったことはやや不満。最後に波多野か嶌(登場人物)の負の面を描いて、ドンと落としてきて欲しかったかなと。

なお、この作品のタイトルは『6人の嘘つきな大学生』ですが、1番嘘つきなのは間違いなく作者の浅倉秋成さんでしょう 笑

しかし、この作品でつかれた無数の嘘は、読者への最高のサービスです。浅倉秋成さんの手のひらで踊らされてみてください。

2022年1月の合わなかった本1作

ここまで解説したように今月は当たり本ばかりでしたが、そんな中でもハマらなかった本がこちらです。

本格ミステリーを謳っているだけあって、その雰囲気はかなり出ています。それなのにどうにも読んでいて楽しめない…

密室トリックが2つ出てきますが、どれもトリックとして無理があるように思えてなりません。(論理は破綻していないですが)

犯人の動機もめちゃくちゃで「それで人を殺すの?」と理解に苦しみます。犯人の「異常性」で何もかも片付けてやしませんか??

また、自称名探偵の「碧月夜(あおいつきよ)」というキャラクターが、本格ミステリーの知識を夢中になって語ってしまう場面が多くあります。

最初はそういうキャラ設定なんだと思っていました。

しかし、徐々に知念実希人さんが「俺こんなにミステリーに詳しいんだぜ?(ドヤァ)」と言われているように思えてきて、読み飛ばすように。

本格ミステリーは好きですが、歴史にはそこまで興味ありません…

終盤に物語の前提をひっくり返すトリックが出てきますが、これと似たようなものを東野圭吾の小説で見たことがありました。
『ある閉ざされた雪の山荘で』っていうんですけど。

似たものを見ていたこともあり、最後のトリックは割と早い段階で予測できてしまったので、特段驚きもなく答え合わせを読んでいるような感覚でした。

そんなわけで個人的には本格ミステリーと呼べるほど完成度は高くないという印象です。

トリックで勝負するにしては平凡で、かといって人間ドラマがうまいわけでもない。

知念実希人さんの小説はこれが初めてでしたが、今のところ他の作品を読もうとは思えません…

まとめ

Webライターとして働いていることもあり、小説で使われる巧みな表現や技術を見ると、めちゃくちゃ気分が高揚します。

文章の持つ可能性を感じずにはいられないので、フォーマットこそ違いますが文章を書く仕事をしていることを誇らしく感じるのです。

ぼくも同じように人の心を動かす文章を書きたいと思う次第。今後も刺激を受けながら頑張ります!